趣 意 書
 21世紀を間近に迎えようとしている今日、ソ連邦の崩壊、冷戦の終結、民族間紛争、自然環境破壊、異常気象等、世界は目まぐるしく変化しています。その中で、人類はもう一度自分たちの文明、文化に目を向けてみれば、第二次世界大戦が終結し日本が目まぐるしい復興を遂げてから50年の歳月が過ぎようとしています。バブル経済の崩壊、銀行神話の崩壊と絶対に変化しないと想っていたものが簡単に変化し、先行きが全くわからない厳しい状況にあります。その一方で物資は豊かになり、平和な住み良い国になりました。しかし、自分中心的に考え、他人に対して思いやる心が欠如しがちな事件、風潮を見聞したりすると心が痛む今日であります。
 そこで私たちはこの社会においてもう一度、本質がなにであるかを見極め選択し、守るべきものと変革すべきものを見据えたうえで、次なる世代に伝える義務があると思います。”古いけれども、新しい犬山”をめざし郷土犬山の伝統、文化をもう一度見直したうえで誇れる郷土の再構築をめざし、地域の人々に限らず、又世代を越えて城下町犬山を掘り起こすことにより、地域の活性化と更なる飛躍に役立てることができたら素晴らしいことと思っています。「昔の犬山もこんなに良かった。」というお年寄り、「今の犬山はこんなに良いところだが、こうすればもっとよくなる。」と考えている青年、そして21世紀を担う子供達と、3つの世代にまたがって考えることのできるまち、次なる世代への贈りもの、真に人々のよろこびとなる 「オンリーワンのまちづくり、ひとづくり」をしていきたいと考えています。
 全国には、同じ様な思いでまちづくりに努力されている城下町が数多くあると思います。同じ素晴らしい伝統文化の情報の共有を目指してお城を軸とした情報を全国に発信して参りたいと考えております。そこで今回はその一環として、全国の古城を50ヶ所選び、縦2.3m、横270mの巨大な一本の巻物に描く試みに取り組んでいる松阪市在住の絵師、榊原匡章さんを取り上げることになりました。榊原さんの絵は、くっきりと墨で輪郭を描き、赤、青、黄、緑の4色の水彩で塗っていく版画を思わせるような「絵画」であります。大きな絵を城下町のお城の中で子供から大人までみんなで集まって先生と一緒に描く楽しい企画であり、自分のまちの心のよりどころ、ランドマークとしてのお城を描くことは郷土を思う心の醸成にきっと役立つものと確信しております。平成8年の春、榊原さんが犬山を訪れ、ぜひ犬山城を描きたいとの申し出がありました。すでに18ヶ所を描き終え、最後は「おわり名古屋城で終わりたい。」とのことでした。そこで、ただ単に犬山城を描いていただくだけでなく、名古屋城まで我々犬山が活動を共にすることにより、「国宝犬山城」のある犬山にしか出来ないお手 伝いが出来るのではないかと考えました。そこで、犬山に「全国古城絵巻五十撰」実行委員会を置き、この活動を通して全国の城下町との交流を進めていきたいと思います。昨年までに郡上八幡、岡崎、彦根、大垣城、岐阜、松本を描くことが出来ました。
 これまでの、私たちの活動に対して、犬山市及び、お城まつり実行委員会関係者のご理解を賜り、平成9年の「第2回犬山お城まつり」から協賛事業の仲間入りをさせていただくことが出来ました。毎年、犬山お城まつりではこの活動の一年間の報告を行っていきたいと考えています。
平成12年5月吉日
全国古城絵巻五十撰実行委員会
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